とんがった10のお題

● 注射器
● ガラスの破片
● 三角
● 棘(いばら)
● ココロ
配布元:Abandon
固定夢主
元統制機構諜報部中尉、現サーカス団員、未来(もしくは別ループ)レイチェルのパティシエ
※棘とココロは同一です

変換タグが入っていませんでした修正しました本当に申し訳ありませんでした
















































注射器

「ああ、こんなところにいたんですね」

随分探しましたよぉ?と、それはそれは嘘臭い笑み(それが地であり常なのだが)を含んだ声が耳に吹き込まれる。
と、同時に長い腕が腹の前に回され、見覚えのある細い指が組まれて行動を阻む。

「ハザマ大尉…機構辞めた人間にかまってないで仕事してください」
「ちゃんと仕事で来てますよぉ。上からの指示でしか動けない性格ですしねぇ」
うそだろ。頭いっぱいに否定が占めるが、呆れ顔に変換。口には出さない。

「つまり偶然やってきたここで偶然あなたを見つけたんです。…ハッ、つまり運命ですね!?」
とか、なんとか、いきなりメルヘンというよりキ●ガイじみたことを言い出すハザマを後目に
腕を解き、さっさとその場を辞そうと脚を動かす。
とて仕事中なのだ。
ただし、図書館…つまり元職場である統制機構ではなく、階層都市カグツチ下層にほど近い、サーカス拠点の一角。
大型小型が集められた動物の檻、その一帯。そこがここしばらくの彼女のテリトリーだった。
今の彼女は猛獣使い、および調教師だ。
しかしその歩は解けない腕によって阻まれることとなったが。
「諜報を辞めて何をしているのかと思えば、娯楽を提供しているだなんて。さすがの私でも思いませんでした」
「いい仕事です。……あの場所よりよっぽど健康的だわ」
「…そうですか。あぁ仕事の良しあしを聞きに来たわけではありませんでしたね。
 一応仕事の一環で通りかかっているのですからあなたにも聞きましょうか」
居住まいを直すハザマと改めて顔を合わせる。

「下層に近いここで生活していたのなら情報を持っていませんかね? 青、について」
その確りとした口調には断定的な色が強い。

偶然とハザマは言ったがどうせ彼のこと。とっくに見当をつけたうえで来ているに違いない。
は確信している。
なんといっても機構時代は彼のやり方を一番間近で見、執着心が如何ほどなのかということすらも理解っているのだから。
自分の知る限りの噂程度の情報を話しつつ、その一方で思案する。

様々な条件が重なって自己意思のもと辞職したが、この男の部下であったことに拒否感はなかった。
さすがに変にねちっこい部分はあったが、それでもこうしてあってしまえば、懐かしい。

それどころか多少の気持ちよさまで感じてしまう。
癖になってしまっている。ハザマという人物の、この性質が。

麻薬のようなものなのだろう。


お互いが、お互いにとって。


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ガラスの破片

マコトは過去最大級に困っていた。
士官学校時代、それと1・2を争うほどの渋い顔がいまにも出てしまいそうだ。

報告のために上司の執務室を訪れたはいいが、第一声を発する前に絡まれてしまったのである。
部屋の持ち主はハザマであるから、もちろんハザマにだ。
蛇にまきつかれている気分で正直息苦しいというか、なんかイヤだ。
苦手な人物なら尚更だ。

しかしまあ、絡まれるだけで実害がなければ百歩譲ってよしとしよう。百歩…千…百歩でなんとか妥協する。

がゆでたまごを作ってくれるんですが」
あ、くだらなさそう。

なにかミスでもしてしまったかと思ったがそうではないようで、かといって実りの多い話題でもない。
だが知りあいの名前が出たことに反応を隠せないのも真理である。
はマコトが諜報部に配属された当初から世話になりっぱなしの先輩でもある。
本人は機構を辞めてしまったが、現在も親しいだけにつまりはよく知っている。

まさかこのヘビ…じゃなかったハザマと個人的に繋がっているとは思わなかったが。
(たしかにべたべたされている様子は何度も見ていたが)

それにしてものろけ話なら壁に向かってやってくれといいたいところだ。
の現況の情報源ということで、甘んじてここにいるわけだが…

「ゆで卵といったら固ゆでが王道です!!卵黄が黒ずむぎりぎりの見極めの何と難しいことか!」
 たしかにそれは難しいと思う。
「半熟の、の胸のような感触も素晴らしいですが食用としてはいただけません!」
 どんだけ黄身のゆるい半熟ですかそれ?てか触ったんですか。
 ドサクサって便利ですよねぇ!

問題発言をかます上司をかわいそうなものを見る目で憐れんで、この世の儚さを知るのか。
「あなたはどっちの味方ですか!?もちろん固ゆでですよね!!」

「生卵一択です」

あ、崩れ落ちた。見事なorzです大尉。


元ネタはツイッターでのネタ合戦
指で押すとむにゅっと変形する程度の管理人作のゆで卵。
111127

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三角

の愛する私が来ましたよ〜 っておほっ獣臭い!」
いつも通り見えているのかわかない目で、ハザマが軽やかなステップで姿を現す。
しかしその足取りは扉を開けたところで止まってしまった。

「っぶしゅ!っぐ、猫臭いのほうでしたかっ」
「あら、大尉待ってもいないですけどこんにちは。タオ、遊んでくれる人ですよ〜」
意気揚々と入ってきた空間には檻の中にライオンとヒョウ、そして様々な柄が目に楽しい多くのネコ、そしてタオカカ。

見事な猫空間である

「ニャ!緑のひとニャス!タオと遊ぶニャスかー!!」
「猫はっ猫はダメだってっぶしゅ、言っへぶっ……たじゃないですかぁあ!?っぐしゅ」
「緑のひとかっこ悪いニャスなぁ。今日は怖い人じゃないニャスぅ?」
苦手な猫に必然的に囲まれて恥も外聞もなくを盾にし、飛びつかんばかりの及び腰。

「タオはこんなかっこ悪い人に引っかかっちゃだめよぉ」
「ニャス!肝に刻んでおくニャス!」
タオカカの言葉は混ざっているとはいえ、なかなか知的なものいいができるようになったものだなぁ、
なんて、場違いな感想をもってしまう。
細身とはいえ男一人抱えて余裕なものである――。


最終的には飛びつくも厭わないと言わんばかりのその姿。
普段の冷徹なハザマとは思えない、が。

はるかに人間らしいそのその姿は、ずっと好感が持てるものではないか?


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忌々しい傍観者―レイチェル。
ハザマの天敵の一人といっても過言ではない少女の姿をしたそれの背後に控える二つの影。

威圧感すら感じさせる体格のいい老紳士と――かつては傍にあった、女。

いくつものループでハザマが珍しく幾度も、変わらず執着を向けた女―
今では吸血鬼にまで重用されているらしい。

ぱったりと姿を見なくなったと思ったら、こっち側に組み込まれていやがったとは!
やっと見つけた姿は少しばかり変わっていたが些細なこと。 本質はこれまでと変わらぬに、ハザマは歪んだ笑みを向けた

***

とある歴史を見渡せる丘―


「あなたのいるべき場所はそこではないでしょう、帰りますよ
「今はわたくしの眷属よ、大人しく諦めてくれないかしら?」


レイチェルの一言でテルミが更に凶悪な力を撒き散らす。
あれの最終的な標的は言葉の通りなのだろう。
青に加え彼女も手に入れるためにレイチェルと、かつては共闘した男に喧嘩を売る…もとより仲が良かった記憶もないが。

、あなたは城に先に戻りなさい」
「仰せのままに、お嬢様。おいしいお茶菓子を用意してお帰りをお待ちしております」
「一応警戒をしておくのですよ」
「肝に銘じておくわ」
レイチェルとヴァルケンハインに送り出され、笑みと優雅な一礼を残しその空間から姿を消す。

とて元は機構の構成員である。
戦えないはずはないのだが、今の彼女には事情により行動が制限されるハンデがある。
つまり避難せざるを得ない。

「さあテルミ、前哨戦と参りましょうか」
退く気などさらさらないことが明らかなテルミを前にしては、こちらも大人しくしているわけにはいかない。
初期ならばまだしも、すでに数回の歴史をここで過ごしている彼女は、すでに固定されている。
その上、お嬢様好みの菓子を作れる数少ない人材でもある。手放す理由はない。


「ループはすでに次へとスライドしているわ。
わたくしのパティシエは渡せなくてよ」


「この歴史を俺は認めねぇ!!返してもらうぞクソ吸血鬼ィ!」

ココロ




多分CTループ内で。ハザマがループ状態を把握していたかどうかは理解していないです
111213

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