シルバーステージ、南地区で銀行強盗。
犯人グループにNEXTが混じっている。

今日も元気に犯罪者のお出ましである。




Life is a tragedy full of joy.

―人生は喜びに満ちた悲劇である―





事件も無事解決されて、スカイハイと揃って帰社する。
出勤中の呼び出しで、荷物も着替えもそこにあるからそれはもう仕方ない。
他愛のない話をしながらロッカールーム前まで来るのはいい、いいのだが。

「スカイハイ、」

一緒に入ってこようとするのはどうなんだ。

「なんだい?」
「あなたのロッカーは向こうだと記憶していたんだけど」
「その通りだよ。間違っていないとも」

「あなたがいるとわたし、着替えられない」
スカーフを緩めながらそこまでいってやっと理解してくれたのか、
「す、すまない!そして失礼した!!」
あ、マジで気づいてなかったのか‥
焦りまくって男性ロッカーへ向かう後ろ姿を見てると笑いが出てしまう。
ほとんど露出せずに着替える方法もあるし、彼のことだからいざ脱いでいても変な気を起こしそうにないんだが。
それでも女としては恥じらわないといけないのだ。

それに彼は心配しているんじゃなかろうか、とは思う。
まだ成り立てのヒーローに重大な怪我がないのかと。
私より彼のほうが傷を負いそうなものだ。
いっそ私がロッカー襲撃してやろうか。なんて。

いや、彼ならHAHAHAとか笑ってそれこそ気にしなさそうだ。が、全裸にまでなられたらそれはイカン。
とりあえず着替え終われば合流は見えている、その時にあの腕を掴んでやろう。
犯人の捨て身のタックルを受けてたようだから。



普段着でロッカーから出てみれば予想通りキースがロビーのソファで待っていた。
を見つけた途端、主人を待つ大型犬のようにこちらに手を振る。
軽く振り返して、近づけばキースも立ち上がり、再び隣に並ぶ。
「今日もジムに?」
「もちろん。体力なくて途中で能力切れました。なんて笑い話にもならないもの」
疲れていても、体型と純粋な肉体能力の維持・増強は必須だ。効率よくやってもかなりの時間をジムに割くことになる。
特には早急に体力等を作り上げる必要がある。今日ももちろんジムだ。
事件後であるから短めではあるが。
「だめだぞ、無理は」
「してないわ」
彼は、過保護だ。


本来今日は私だけがスケジュールにトレーニングが組み込まれていた。
彼は付き合ってくれているだけ。もちろんいつも通りの格好だ。
ジャケットを脱いでいるくらい。

その腕を、前置きなしに

ぐむ

「!?」
上腕二頭筋のひと束をわし掴んでみた。(だって太すぎて両手でも腕一周できるかどうか)
「犯人が最後の悪あがきしてたから、怪我ないかなーって」
「ない、ないって!そういう君こそどうなんだ!?」
「見る?」
痛みのせいか、今度はまともだったらしく、
「女の子がそんなこと言うじゃありません」なんてママみたいなお説教をもらうことになったとさ。

途中でしびれを切らしたが夕飯をいけにえに開放を要求して、お説教は終結した。
はは〜とジャパニーズ式に拝みつつ、聞いてみる。
「ご注文は?お客様」
「チキンのグリル!」
早い。たぶんこの間出したもののことだろう。シシュケバブ。お気に入りのようだったし。
以前に夕飯を御馳走してから、こういう機会が幾度もあった。も慣れたものだ。
「じゃあマーケットに寄らないと」
はあまり肉を食べない。食べるなら買うしかない。
彼の冷蔵庫にあるとも限らないし。
同棲してる恋人のようなやり取りだなぁと思いつつ、一気に気を良くしたキースを傍目に着替えに向かったのだった。

そうだ野菜が足りなさそうだから野菜たっぷりのポタージュスープも付けよう。


共に買い物をして、キースのマンションに上がりこむ。
できたらレトリバーと戯れながら食事する。ほんとに慣れてしまった。
食べ終わったあとビール飲みながら腕まくってみたけど、結局彼は青あざ一つ作ってなかった。
なんだこの筋肉、分厚!!(カッチカチでした)


(柔らかいな君は!)(ええそうでしょうともうわどこ触ってんですかそこむn)(そしていいにおいがする)


セ ク ハ ラ・・・!




『この間の』エピソードは後日あげるお題で補完
110619
title by 縁繋