しばらく前からスカイハイ、ことキースからの接触がなくなった。

事務処理中も心ここにあらずという風。
内務が終わり次第さっさと帰っていく。
なだれ込んできて食事をねだることもなくなった。

付き合っているといっても仲間の延長上といった感じで恋人同士になった(と思っている)わけで、
接触過多だと思っていた自分としてはありがたいことだけれども、
それに慣れてしまったものだから少し物足りないのは内緒だ。


「あなたたち最近二人でいること少ないんじゃなくて?」
「ヒッ‥!?あぁあ背中はやめてネイサン」
不意打ちで背筋をなぞられてのけぞりながらも、 初めて言われたといわんばかりには聞き返す。
カリーナとネイサン、パオリンを筆頭に盛り上げられたスカイハイ浮気疑惑。
その辺のパワーは女の子だなぁとはどこまでも人ごとのよう。
周りばかりがそわそわしている。

はスカイハイと、つっ、付き合ってるんでしょ?」
パオリンが真っ赤になってかわいいものだ。突っつきあってはいないよ。
「一応恋人だけど‥まぁいいんじゃない、他にいい人の一人や二人いても」
「よくないわよ」
「キースもそういうお年頃ってことで」
「どんなお年頃よ、もう!」

現在進行形で浮気されているとは思えないクールさ。
しかし笑顔の下、心の内はいかばかりか。
いつも以上にトレーニングに打ち込み、から声をかけることをしない。
カリーナやパオリン、ネイサンらで女子会よろしく遊ぶ頻度が増えていた。



そんな日が数日続いたある日――


夜半突然のしかかられキスの雨で目を開く。
ああこのにおいはキースだな、と寝ぼけた頭で考える。鍵かけたはずなんだけどなぁ。
ぼんやりしているうちに部屋着を剥かれ、彼が体内を占めるころ覚醒する。
ひとしきり蹂躙されて、ぐったりとベッドに沈む。
キースといえば来たときと同様、さっさと服を整えると部屋を後にした。
そういえば脱いでなかったな。

共寝すらしないとは忙しないというか、新しい彼女に向けられない鬱憤を晴らしたというか。そういう感じ?
ヤるだけかぁ、軽く考えてみても虚脱感はぬぐえない。
あのキースがこんな態度に出るなんて、
「これは終わりかな、早かったなー」
ひとりごちて付き合い期間を指折り数え、その折れた指の本数にため息をつく。
「好きだったんだけどな‥。あ」
下腹部をひとなで。

*** ***

ジムでヒーローたちと話すを見て、ふとおかしな癖を見つける。
そういえば彼女と最近話していない。
ここしばらく事情があって、それが頭を支配していたから仕方ないと言ってしまえばそれだけなのだけど。
‥ではなくて、
短い接触時間でもわかるほどの頻度。
腹を撫でる。まさか、


久々にトレーニングをフルスケジュールでこなしたキースに、
「新しい彼女とはうまくいってる?」
噂が立つ前と同じテンションで、今日もいい天気ねと言われたかと錯覚するほどナチュラルにが言葉をかける。

「わたしセフレになり下がるのはごめんなの」
あの時3人に詰め寄られた時のように、運動後の汗とは別のものが噴き出してくる。
口元は笑っているのに目が笑っていない。
「新しい彼女とのはけ口になるくらいなら終わりにするから言ってちょうだい?」

数日前の性急な行為のせいなのは明らかだった。
レイプまではいかずとも抵抗がないのをいいことに行為だけで帰ってしまった。
煮詰まってとにかく触れたかったといっても、人間として最低だ。そう思われてもしょうがないけれど、

「彼女とは関係ないんだ、いや、彼女とは最初からそんな関係じゃなかった!」
「途中で気が変ったって?」
「そういう意味じゃない!」
半分錯乱し始めているのか、子供のように頭を振るキース。


「最初から最後まで彼女の悩みを解決するために一緒に模索していただけなんだ!」

「‥は?」
「彼女が、どうにもならない壁に当たって本当につらそうな顔をしていたから」
「助けてあげたって?」
「ああ、それにもう解決したんだ」
情けない顔で弁明するヒーローに、眉間にしわを寄せたが見るからに脱力していく。

「だから、別れるなんて言わないでほしい‥」
普段の彼からは想像できない弱弱しさ。だれだこれをKOHと呼んだのは。
しかしもとより嘘の下手なひとであるから、この局面でうまく嘘をつけるとはにも思えない。
「‥今回は私の勘違いってことで、撤回する」
途端ぱあと光を放つ目。犬だ‥
「なんで隠してたのかは聞かないけど、今度やったら」
弁解もさせない、と釘を刺す。先に人助けだと言ってくれればこんなきりきりすることはなかった。

「ありがとう!そしてありがとう!それで、その‥」
喜びでぎゅうぎゅうと抱きしめたあと、話を切り出したその顔は赤く、
しかし今にも嬉しさを全身で表現しそうなきらきらしい顔でこっちを見ている。
「子供はやっぱり」
「子供?」
「君の」
「え?」
「え?」

ああ、とはなんとなく理解する。
「ただの生理痛よ」

「紛らわしい、紛らわしいぞ、とても!」
「キースが勝手に誤解したうえに、生理現象に文句言われても」
いつもより重くて長くて終わりがけの今もツライのよ




勘違いで仲違いのお互い様





ストレスだったのかしら?


君の子供がみたい!そしてかわいがりたい!だから早k
作らないわよ


(´・ω・`)



ばかっぷるでいいんじゃないかな
べたなネタもやるべきだと神様が天啓をだな
予告は嘘だと言っておくれよバ(ー)ニィ
110704